年齢のせいでしょう

梅雨が明けると坂畑の上下の低い石垣の上にこんもり、こんもりお茶が茂っておりました。その小枝を摘んで天日で干し平たい土鍋でゆっくり混ぜ乍ら加熱、少々焦げたら出来上がり、ほうじ茶です。

お客様には煎茶、家族の日常にはほうじ茶、たまに羊かんと共に抹茶の作法を母が教えてくれました。正座のしびれは苦痛でしたが戦後の引き上げで貧しくとも五人の娘に自立できる資格や特技を身につけるよう育てた母の気概を六十余年経った今、気づく娘です。

茶葉を摘んだ坂畑は竹林と化し猪の遊び場ですが、茶を刈り取って煮出しシルクのスカーフを染めました。

渋い緑色は父が好きだった色、元気だったら118才、ギネス記録なのにネ、と二人の好物だった餡に蜂蜜をいっぱい入れたボタモチを供えました。